「金や原油に投資するコモディティ投資って何?」
「実際にコモディティに投資するにはどうすればいい?」
「コモディティ投資のメリット/デメリットを教えてほしい」
本記事では、そういったお悩みを解決していきたいと思います。
最初に本記事の結論を示しておきます。
・コモディティ投資とは金や原油、穀物などの「商品」への投資のことである
・メリットは「分散投資が可能」「インフレ・危機時に強い」「低金利のときは優位性が高まる」
・デメリットは「価格変動が読みにくい」「インカムゲインがない」など
・投資方法はいろいろあるが、ETFがおすすめ
ただ、これだけでは大雑把で分かりにくく、投資初心者にとっては難解な言葉も多いと思いますので本文中で解説していきます。
- コモディティ投資とは
- コモディティ投資への投資方法
- コモディティ投資のメリット/デメリット
- コモディティ投資にかかる税金
- オススメのコモディティETF
「投資家ドットコム」を運営する「ロニイ(Twitterはこちら)」と申します。
資産運用や投資信託が好きすぎて、投資初心者向けに資産運用ブログ「投資家ドットコム」を立ち上げました。
2020年末に発生した新型コロナウイルスの感染拡大以降、金(ゴールド)を始めとするコモディティ価格が上昇しています。
なかには原油のように大暴落したものもありますが、世界中の中央銀行が金利引下げに走るなか、コモディティ投資に注目が集まりつつあります。
そこで本記事では、「これを読めばコモディティ投資のことは大体分かる」という点をモットーにコモディティ投資について解説していきたいと思います。
それでは、さっそく見ていきましょう。
※本記事の読了時間は約10分です。少々長いと感じるかもしれませんが、あなたの重要な「お金」に関する話ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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コモディティ投資とは
コモディティ投資とは、金(ゴールド)や原油、穀物などの「商品」への投資を指します。
やはり、いちばん有名なのが金(ゴールド)ですよね。
コモディティには「ハードコモディティ」と「ソフトコモディティ」という2種類のコモディティがあります。
「ハードコモディティ」には鉱山から採れた金(ゴールド)や原油、ニッケル、銅などがあります。
最近では銀やプラチナといった金(ゴールド)に近い「ハードコモディティ」も注目されています。
「ソフトコモディティ」とは小麦、大豆、コーヒー、家畜などの農産物のことです。
一般的に個人投資家がするコモディティ投資は金(ゴールド)をはじめとする「ハードコモディティ」が多いですが、農産物などにも投資できます。
おそらく、ほとんどの個人投資家は「ソフトコモディティ」に投資することはないと思いますが、コモディティにも色々な種類がある点だけ抑えておいてください。
コモディティ投資のメリット/デメリット
もちろんですが、コモディティ投資には株式投資のようメリット/デメリットがあります。
メリット①:分散投資が可能になる
まず、コモディティ投資をすることで分散投資が可能になります。
個人投資家やプロのヘッジファンドにとって、いつの時代も運用の主力は株式です。
※債券やクレジットを投資の主力に据えるプロもいます
しかし、プロの投資家が100%株式でポートフォリオを組むことはありません。
「株式70%,債券20%,金(ゴールド)10%….」というようにアセットを組み込むことでリスクを抑えています。
このように様々なアセットを組み合わせることをアセットアロケーションといい、日本の年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も資産を分散してきました。
※アセットアロケーションを詳しく知りたい方はつぎの記事も参考にしてみてください。
ちなみにGPIFポートフォリオは次のようになっています。
- 国内株式25%
- 海外株式25%
- 国内債券25%
- 海外債券25%
GPIFは金(ゴールド)などのコモディティを組み込んでいませんが、世界最強のヘッジファンドといわれる「ブリッジウォーター・アソシエイツ」では金(ゴールド)を15%程度組み込んでいます。
なお、これから資産形成をしようと考えている方はアセットアロケーションをする必要はありません。
全力で株式型インデックスファンド(信託報酬が安いファンド)を積立てください。
メリット②:インフレに強い
また、インフレに強いのもコモディティ投資の強みです。
インフレとは物価が上昇することで、成長が著しい東南アジアでは毎年のようにモノの値段が上がっています。
デフレ(モノの価値が下がること)が続いている日本では体感しづらいかもしれませんが、インフレが生じると現金の価値が低下します。
モノの価値が上がるため、相対的に現金の価値が低下するのです。
インフレが生じると現金以外のモノの価値が上昇します。
「株式」「債券」「金(ゴールド)」「原油」…
そのため、各国政府はインフレに誘導しようとするのですが、インフレが進みすぎると人々の生活を圧迫したり企業業績を悪化させます。
※インフレ率が8%以上になると、企業の業績が著しく悪化することが分かっています。
日本銀行は物価上昇率2%を目標としていますし、先進国の中央銀行も2%前後のインフレを目指しており、この傾向は今後も続くでしょう。
「株式」や「債券」といった企業価値に基づいて価格が決まる金融商品は、インフレで割高になると誰も買わなくなります。
そこで「株式」や「債券」に流入しなくなった資金がコモディティに流れてきます。
そのため、「株式」と「コモディティ」の相関性は薄く分散投資が可能となるのです。
メリット③:危機時に強い
危機時に強いこともコモディティ投資のメリットだといえます。
2007~2008年に起こったリーマン・ショック、2020年のコロナ・ショック以降に金価格が特に上昇していますね。
一方で世界経済が順調に成長した2010年代は横ばいの状態が続きました。
つまり、機関投資家や個人がリスクを取っていいと考えているときは「株買い、金売り」を、リスクを取れないときは「株売り、金買い」をしていることになります。
ただ暴落直後は「株、債券、コモディティ」といったリスク性資産が売られすぎる傾向にあり、現金価値が急激に上昇することが多いです。
そのため、暴落が落ち着いてからコモディティを買うのも悪くないでしょう。
※あくまで傾向である点に注意が必要です。
メリット④:低金利時に優位性が上昇
インフレに強い・危機時に強いのがコモディティの特徴と説明しましたが、低金利時にもコモディティの優位性は上昇します。
コモディティの最大のデメリットは金利が出ないことです。
つまり複利の効果を活かすことができません。
※複利の効果を知らない方はつぎの記事も参考にしてみてください。
ただし金利が低下すると話は変わってきます。
債券が金利を産まなくなるため、もともと金利が出ないコモディティとの差がなくなってくるのです。
そのため低金利環境になると株式やコモディティといった金融商品の価格が上昇し始めます。
特にコロナショック後に株価が上昇したのは低金利環境が原因といわれています。
代表的な金利指数である米国10年債利回りは1%未満まで低下しました。
2021年4月現在、1.6%前後まで回復しています。
一方で金利が高くなると、株式やコモディティから債券に資金が移動するため、コモディティの価格は下落する傾向にあるため注意が必要です。
コモディティ投資をする際には、株式や債券との関係、コモディティごとの性質をよく理解しておくことが重要でしょう。
デメリット①:価格変動が読みづらい
コモディティは株式や債券と異なり、PERや政策金利といった価格の指標になる数字がありません。
PER=株価(時価総額)÷1株あたり純利益(EPS)
PERが低いと割安、逆に高いと割高だといわれる。
各国の中央銀行が世間に出回る通貨量をコントロールするための金利。
2021年4月現在、日本はマイナス0.1%、アメリカは0.25%。
原油や穀物、鉱物には生産量などの指標がありますが、価格の後追いで変化する傾向にあります。
株式や債券ほど価格の割高感/割安感を掴めない点に注意が必要です。
デメリット②:金利を生まない
またコモディティは金利を生まないため、複利効果を活かした投資をすることができません。
そのため、コモディティをポートフォリオの主力に据える投資家は少ないです。
あくまでコモディティは脇役でありポートフォリオの5~20%に留めておくべきでしょう。
先ほど取り上げた「ブリッジウォーター・アソシエイツ」率いるレイ・ダリオのポートフォリオもメインの投資先は株式となっています。
一方で2021年も低金利環境が続くのであれば、コモディティの優位性は高まると考えられます。
米国10年債利回りなどを参考に、金利が上昇するのであれば債券の割合を高め、金利が下落するのであれば現金/コモディティの比率を上げるといいと思います。
・期限が10年間の米国債の利回り。世界で最も標準的な債券指数で、米国10年債を基に投資判断をするファンド・マネージャーは多いといわれている。
デメリット③:株式よりは利回りが低い
ここまでコモディティのメリット/デメリットについて解説してきましたが、資産運用の主力が株式であることはいつの時代も変わりません。
1972~1990年にかけては金(ゴールド)が優勢ですが、それ以降は株式のリターンが金(ゴールド)を上回っていることが分かりますね。
金(ゴールド)以外の原油、銀、プラチナも株式より高いリターンが出せないことが分かっています。
コモディティへの投資方法
ここからはコモディティへの投資方法を解説していきたいと思います。
コモディティに投資する方法は主に5つあります。
- 投資信託
- ETF
- 先物
- CFD
- 現物
メリット | デメリット | |
---|---|---|
投信 | 手数料が安い | 時価で取引できない |
ETF | 手数料が非常に安い | 現物が手に入らない |
先物 | 未来の取引ができる | リスクが高い |
CFD | レバレッジを掛けられる | リスク/手数料が高い |
現物 | 現物の安心感が手に入る | 保管手数料が高い |
それぞれ見ていきましょう。
①投資信託
投資信託は企業の株式や債券を集めて運用する商品のことですが、株式や債券のみならず金(ゴールド)や原油の投資信託もあります。
先物価格や指数に連動するものもありますが、後で解説するETFと比較して銘柄数が少なく、手数料が高い場合が多いため、あまりオススメはできません。
銘柄数の多い金(ゴールド)に連動する投資信託を見てみましょう。
- 三菱UFJ純金ファンド
- MHAM金先物ファンド
- i-mizuhoゴールドインデックス
- ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
- ピクテ・ゴールド・インカム・ファンド(毎月分配型)
投資信託とETFは金融商品としての性質はほとんど変わりませんので、コモディティに投資するのであればETFの方がよいでしょう。
なお、記事の後半部分でオススメのコモディティ商品について解説していきます。
投信とETFの違いがよく分からないという方は、次の記事も参考にしてみてください。
②ETF/ETN
ETFは上場投資信託の略であり、東京証券取引所が開いているときにはリアルタイムで取引をすることができます。
ETN(上場投資証券)とETFの違いは裏付け資産の有無であり、基本的には同じ性質をもった商品です。
東京証券取引所が開いている時間は9:00~11:30,12:30~15:00ですので、その時間帯は取引可能です。
ここでは、日本で購入できる「金(ゴールド)」「原油」のETFを解説していきます。
記事の後半部分では海外ETFについても紹介していきたいと思います。
まずは金(ゴールド)から見ていきましょう。
- SPDRゴールドシェア(1326)
- 金価格連動型上場投資信託(1328)
- 純金上場信託(現物国内保管型)(1540)
- Wisdom Tree 金上場投資信託(1672)
- NEXT NOTES 金先物ダブルブル(2036)
- NEXT NOTES 金先物ダブルベア(2037)
ちなみにブルというのは「相場の上昇」を意味し、ベアは「相場の下落」を示します。
つまり、NEXT NOTES 金先物ダブルブル(2036)は先物価格の2倍に連動、NEXT NOTES 金先物ダブルベア(2037)は反対方向に2倍の値動きをすることになります。
つまり、実際に金価格に連動するのは【1326】【1328】【1540】【1672】の4本のみです。
NYにあるブルの像
原油価格に連動するETFはどうでしょうか
- SAM WTI原油ETF(1671)
- WT WTI原油ETF(1690)
- NF NOMURA原油(1699)
- NEXT NOTES ドバイ原油ダブルブル(2038)
- NEXT NOTES ドバイ原油ダブルベア(2039)
世界的に有名な原油価格には「WTI」「北海ブレンド」「ドバイ原油」などがあります。
それぞれの原油価格の特徴を挙げると、「WTI」は米国の原油価格、「北海ブレンド」はヨーロッパにある北海で掘られる原油の価格、「ドバイ原油」はアラブ首長国連邦での原油価格というようになります。
基本的にこの3指標は連動して推移しますが、各国の政治情勢や為替レートにより価格に振れ幅がでることもありました。
投資対象として考えると、「原油価格」への投資はパフォーマンスが悪いため注意が必要です。
水色:全世界株と青:原油の比較
③先物取引
先物取引は、未来の取引を先取りしてする取引のことです。
石油会社や総合商社といった資源を取引する企業はリスクを抑えるために先物取引をします。
具体例を見ていきましょう。
石油を開発・出荷する総合商社A社は、1L=80円で原油を卸す契約をしていたとします。
原油価格が1L=70円であれば、A社は10円分の儲けを出すことができますよね?
しかし、原油価格が将来的に1L=70円であり続けるわけがありません。
もし、損益分岐点である1L=80円を超えるとA社は損失を出すことになります。
そこで登場してくるのが先物取引です。
1年後に1ドル=70円で原油を卸す先物取引をしておけば、仮に1ドル=80円になったとしても問題はありません。
しかし、1年後に1ドル=60円になれば、A社は10円分安く売ることになるので機会損失を負ったことになります。
※実損は出ていません。
実際に石油や天然ガス、銅などを取り扱う事業会社は、先物取引をすることでリスクを回避しています。
しかし、先物取引は非常にリスクが高いため、個人投資家に推奨できるものではありません。
コモディティ投資をするなら、投資信託やETFがおすすめといえます。
④CFD
CFDは差金決済取引の略で、一言でいうとレバレッジを掛けて行う投資のことです。
CFDには、株式にレバレッジを掛ける「株式CFD」や為替にレバレッジを掛ける「FX」に加えて「商品CFD」があります。
レバレッジを掛けることにより、少ない資金で大きな金額の取引ができるため、ハイリターンを追い求める個人投資家などに人気があります。
しかし、相場が下落し始めると、レバレッジを掛けたぶんだけ下落していくため注意が必要です。
経験の浅い個人投資家がCFDをすると、投資資金が泡になるので気を付けてください。
⑤現物取引
純金やコインなどを取引することを現物取引といいます。
さすがに原油や天然ガスを現物で取引することはできませんよね。
そのため、コモディティ投資における現物取引のほとんどが、金(ゴールド)やプラチナといわれています。
現物取引のメリットは、本物の金(ゴールド)やプラチナを持っているという安心感でしょう。
戦争や大災害が起きたときに最後に頼れるのは、電子データや紙でできた株式や債券、金(ゴールド)ETFではなく、金(ゴールド)やダイヤモンド、プラチナといった現物資産です。
しかし、現代の日本において戦争が起こる可能性は低く、大災害が起こっても電子データは守られています。
現物で金(ゴールド)などを保有するのはセキュリティ上も問題がありますし、銀行で保管すると莫大な手数料が掛かります。
そのため、現物取引はあまりオススメできません。
コモディティ投資にかかる税金
一応、税金についても抑えておきましょう。
投資信託/ETF、先物取引/CFDの場合、それぞれ譲渡所得・雑所得として利益に対して20.315%の税金がかかります。
申告分離課税が適用されるため、株式や投資信託との損益通算も可能となります。
赤字の所得を黒字の所得から差し引くこと。
例えば、100万円の黒字と50万円の赤字を出した場合、100-50=50で50万円の利益に20.315%の税金が掛かる。
一方で、現物取引は年間50万円の特別控除を超えた部分のみが課税対象となります。
通常の金融商品と異なり、ほかの所得と合算して課税されるため注意が必要ですが、5年以上保有すると課税額が1/2となるため、長期投資に向いているといえるでしょう。
おすすめのコモディティETF
ここまでコモディティ投資について解説してきましたが、結局知りたいのは何を買えばいいのか?ということですよね。
そこで本記事では「金(ゴールド)」「プラチナ」「銀」「原油」「穀物」の5商品に絞って解説していきたいと思います。
コモディティに投資するには「投資信託」「ETF」「先物」「CFD」「現物」の5種類があると述べました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
投信 | 手数料が安い | 時価で取引できない |
ETF | 手数料が非常に安い | 現物が手に入らない |
先物 | 未来の取引ができる | リスクが高い |
CFD | レバレッジを掛けられる | リスク/手数料が高い |
現物 | 現物の安心感が手に入る | 保管手数料が高い |
手数料などを考えたうえで、いちばんオススメな方法は「ETF」によるコモディティへの投資です。
ETFは手数料が低いうえに、本記事で紹介する「ETF」のいくつかは現物に交換することもできます。
これから「金(ゴールド)」「プラチナ」「銀」「原油」「穀物」に連動するETFを3本紹介していきますので、ぜひ読んでください。
- 【1540】純金上場信託(現物国内保管型)
- 【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
- 【1542】純銀上場投資信託(現物国内保管型)
【1540】純金上場信託(現物国内保管型)
日本国内で純金に投資をしたいのであれば、【1540】純金上場信託(愛称:金の果実)がオススメです。
※【1540】という数字は証券コードのことで、Googleなどで検索する際に便利です。
理由は3点あります。
- ETFであるため時価で売買できる
- 現物の金(ゴールド)に交換できる
- 姉妹ファンドの三菱UFJ純金ファンドよりも手数料が安い
まず、投資信託と異なりETFは時価で売買することができるため、東京証券取引所が開いているときならリアルタイムで売買することが可能です。
投信とETFの違いは次の記事を参考にしていただきたいのですが、同じ手数料ならETFのほうがいいでしょう。
純金上場信託の最大のメリットは、現物の金(ゴールド)に交換できるという点です。
大手商社の三菱商事が純度99.99%以上の金(ゴールド)を保管しており、1kgから交換することができます。
運用会社は大手金融グループ系の「三菱UFJ信託銀行」となっています。
つまり、防犯などに気を付ける必要もありません。
ただし、実際の金(ゴールド)に交換できるのは「auカブコム証券」「三菱UFJモルガンスタンレー証券」「SBI証券」の3社のみである点に注意が必要でしょう。
このように、実際に保管された純金の裏付けで金(ゴールド)投資ができるETFは、日本でも純金上場信託のみとなっています。
ただ、ここまで好条件が揃うと手数料が高くなると思われるかもしれません。
そこで日本に上場する金連動型ETF4本を比較してみました。
比較するのは次の4本です。
- 【1326】SPDRゴールドシェア
- 【1328】金価格連動型上場投資信託
- 【1540】純金上場信託(現物国内保管型)
- 【1672】Wisdom Tree 金上場投資信託
証券コード | 1326 | 1328 | 1540 | 1672 |
---|---|---|---|---|
現物の裏付け | ○ | × | ○ | ○ |
信託報酬 | 0.4% | 0.54% | 0.432% | 0.39% |
現物との交換 | × | × | ○ | × |
分配金 | 年1回 | 年1回 | なし | なし |
信託報酬(年間にかかる手数料)のみを見ると、【1672】WisdomTree 金上場投資信託が一番安くなっていますが、現物の金(ゴールド)と交換することができません。
また、分配金を受け取れる方がよい気もしますが、長期投資の観点からみると「分配金なし」の方が有利です。
なぜなら、分配金を受け取る度に税金を支払う必要があり複利効果を活かせないからです。
金価格連動型ETFに投資するのであれば、純金上場信託(金の果実)が最有力候補となるでしょう。
また、三菱UFJ信託銀行が「純金上場信託(金の果実)」をベースに組成した投資信託「三菱UFJ純金ファンド(ファインゴールド)」にも人気が集まっています。
しかし、手数料をみると「純金上場信託(金の果実)」の方が圧倒的に安いことが分かります。
純金上場信託 | 三菱UFJ純金ファンド | |
---|---|---|
購入手数料 | 下表参照 | 購入価格に対し上限1.1% |
信託報酬 | 0.44% | 0.99% |
購入/売却時手数料 | |||
---|---|---|---|
購入代金 | ~10万円 | ~20万円 | ~50万円 |
SBI証券 | 484円 | ||
auカブコム証券 | 99円 | 198円 | 275円 |
そのため、純金投資をするのであれば「auカブコム証券」で「純金上場信託(金の果実)」を買うのが最適解だと考えています。
また、海外ETFに投資したいのなら、【1326】SPDRゴールドシェアの米国版である【GLD】SPDRゴールドシェアもいいかもしれません。
ただし、日本円を米ドルに換えるコストが高かったり、現物が海外で保管されているというデメリットがある点に注意が必要でしょう。
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
金(ゴールド)に似た性質を持つことで人気があるのが「プラチナ」です。
プラチナは金(ゴールド)と比較して、マーケットの規模が小さいため、ボラティリティ(リスク)が高くなりやすい傾向にあります。
日本国内のETFに投資するのであれば、純プラチナ上場信託【1541】(愛称:金の果実)がオススメでしょう。
純プラチナ上場信託の特徴を簡単にいうと、純金上場信託【1540】のプラチナ版となります。
国内で購入できるプラチナETFを次のとおりです。
【1541】純プラチナ上場信託(現物国内保管型)
【1682】NEXTFUNDS 日経東商取白金指数連動型上場投信
【1674】Wisdom Tree 白金上場投資信託
証券コード | 1541 | 1682 | 1674 |
---|---|---|---|
純資産総額 | 191.4億年 | 5.2億円 | 786.8億円 |
信託報酬 | 0.55% | 0.495% | 0.49% |
現物との交換 | ○ | × | × |
分配金 | なし | なし | なし |
純資産総額をみると【1541】純プラチナ上場信託よりも、【1674】Wisdom Tree 白金上場投資信託の方が大きいことが分かります。
これは恐らく、信託報酬が低く現物に交換する必要のない投資家が【1674】Wisdom Tree 白金上場投資信託を選んでいるためだといえるでしょう。
コモディティ投資は、いざというときに資産を防衛するためにあります。
そのため、少し手数料が高くても現物に交換できるETFを選ぶべきだと考えています。
ただし、純プラチナに交換できるのも「auカブコム証券」「三菱UFJモルガンスタンレー証券」「SBI証券」の3社である点に注意が必要です。
【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)
「金(ゴールド)」や「プラチナ」と同じく、銀価格連動型ETFでも三菱UFJ信託銀行が運用する「上場信託シリーズ」が投資の最有力候補となっています。
「銀」は「金(ゴールド)」と異なり、自動車部品や太陽光パネルなどへの需要があるため、不況時よりも好況のときに価格が上昇しやすいという特徴があります。
日本で上場している銀ETFの特徴を抑えておきましょう。
- 【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)
- 【1682】Wisdom Tree 銀上場投資信託
証券コード | 1542 | 1682 |
---|---|---|
純資産総額 | 78.8億円 | 5.1億円 |
信託報酬 | 0.55% | 0.49% |
現物との交換 | ○ | × |
分配金 | なし | なし |
「金(ゴールド)」や「プラチナ」に連動するETFと同じく、信託報酬は【1682】Wisdom Tree 銀上場投資信託の方が安いものも、現物と交換できるため【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)に人気が集まっているようですね。
手数料を少しでも抑えるなら【1682】Wisdom Tree 銀上場投資信託、現物に交換する選択肢を残しておくなら【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)をオススメします。
【1542】純銀上場信託(現物国内保管型)で、現物の純銀に交換できるのも「auカブコム証券」「三菱UFJモルガンスタンレー証券」「SBI証券」の3社である点に注意が必要です。
【1699】NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信
コモディティ投資というと「金(ゴールド)」や「プラチナ」への投資が主流ですが、原油価格に投資をすることもできます。
ただし、原油価格のボラティリティ(リスク)は非常に高く、一気に4倍になったり、逆に大暴落することもあります。
また、日本で購入できる原油ETFは長期投資に向かないため、あまりオススメすることができません。
なぜなら原油ETFは先物型ETFと呼ばれるETFだからです。
先物取引は、あらかじめ期限が決められた取引であるため、期日が短いものを売却し、期日が長いものを買いなおす必要があります。
この状態のことをコンタンゴといい、先物商品を長期間保有していても利益を出すことは難しいです。
本記事では原油ETFの中でも信託報酬の安い、【1699】NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信を紹介していますが、オススメできるETFではありません。
【1699】が悪いというより、先物型ETF全般が利益を出しにくい金融商品であるためです。
【1688】Wisdom Tree 穀物上場投資信託
【1688】Wisdom Tree 穀物上場投資信託も【1699】NEXT FUNDS NOMURA原油インデックス連動型上場投信と同じ理由で推奨することはできません。
ただ、どうしても「原油」「穀物」「天然ガス」「アルミニウム」「銅」「ニッケル」「小麦」「トウモロコシ」に投資をしたい方は先物型ETFを利用してみてください。
もし、あなたが業界に精通しているのであれば利益を出せるかもしれません。
先物型ETFについて詳しく解説したJPX(日本取引所グループ)を張っておきます。
まとめ
本記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
内容をまとめておきたいと思います。
- コモディティ投資は「商品」に投資をする
- メリットは「分散投資が可能」「インフレ・危機時・低金利環境」に強い
- デメリットは「価格変動が読みづらい」「金利を生まない」「株式より利回りが低い」
- 税金は株式や投資信託と基本的に同じ
- おすすめの投資方法は手数料などを考えてETFがいちばん
コモディティ投資は、株式型インデックスファンドと異なり主力の投資先となることはありません。
しかし、リーマンショックやコロナショックといった経済危機の際に金(ゴールド)が強みを発揮したように、それぞれの商品には特徴があります。
青:ゴールド、黄色:全世界株
コモディティ投資を始めてみたいなら【1540】純金上場信託などを扱うauカブコム証券がおすすめです。
本記事以外にも資産運用に役立つ記事はたくさんあります。
ぜひ、本記事やロニイ(投資家ドットコムの運営者)のTwitterを参考に資産運用をしてみてください。
それでは、また。